HOME > スターホース特集 ディープインパクト > 栄光の記憶 > 最終章 有馬記念 〜史上最強馬のラストラン〜

最終章 有馬記念 〜史上最強馬のラストラン〜


日付レース名場名 コース馬場人気(オッズ)着順騎手斤量タイム3F馬体重タイム差
06.12.24有馬記念(G1)中山 芝25001 (1.2)1武豊57.02.31.933.8438(+2)0.5

2年間に渡り競馬の枠組みを飛び越えて国民的アイドルホースとなったディープインパクトもこの日を持ってターフを去らなければならなくなった。思えばこの有馬記念という舞台は昨年冬、 無敗の三冠馬を達成し向かう所敵なしだったディープインパクトが初めて挫折を味わった舞台である。よって、予想家の中には中山競馬場への適正の不安を唱える者も多くいたが、ファンのディープインパクトにかける信頼は強く単勝オッズは1.2倍と 圧倒的なものとなっていた。それに続く2番人気には今年のクラシックで常に上位に入線し秋になってからの成長著しい次世代の主役を狙うドリームパスポートが13.1倍、2004年の皐月賞に秋の天皇賞とマイルCSを加えてG1レースを2連勝中のダイワメジャーが3番人気に支持されていた。 上位人気以外でもオーストラリアの大レース・メルボルンカップを制したデルタブルースに同レース2着のポップロック、2冠馬メイショウサムソン、北海道競馬の星コスモバルク、女傑スイープトウショウと近年稀に見る豪華メンバーが揃っていた。
スタンドは超満員でちょうどお昼頃からまったく身動きがとれなくなった。それだけディープインパクトという史上最強のスーパーホースのラストランを見届けたいというファンが多かったのだろう。
パドックに出てきたディープインパクトは元気たっぷりに周回し、ディープインパクトという馬を知らない人が見たらやや入れ込みがあるという状態に見えるかもしれないくらいな雰囲気である。だが、このディープインパクトという馬は 逆にパドックで元気がない時の方が不安で、むしろ少し暴れるくらいの時の方がいいようで、この日のディープはつまり好気配を漂わせていた。
状態に不安なしでいよいよ本馬場入場がはじまり有馬記念出走馬が馬場に入ってくる。ディープインパクトは一番最後に馬場に出てきて、あくまで慎重に配慮しているのが分かった。さらにスタンド前の大声援を避けて武ジョッキーが向こう正面に馬を持っていく姿は まさに順調そのものであった。
そして時計は15時25分。盛大なファンファーレと大声援の中、スタートは切られた。
これまでスタートで数々の後手を踏んできたディープインパクトであったが最後のスタートは素晴らしいものだった。そして、すーっと武豊騎手が後方へ下げていく。 出遅れたスイープトウショウと後方待機策のスウィフトカレントを後ろにおいて後ろから3番手の位置取りを確保した。武豊騎手との息はピタリと合い、まさにディープインパクトの集大成にふさわしい出足となった。レースは逃げるアドマイヤメインが引っ張る速い流れとなり2番手にはダイワメジャー、3歳トップホースのドリームパスポートはやはり中団につけていた。 そのままの形でスタンド前を各馬疾走していく。当然ディープインパクトへの応援の大声援が上がる。ディープインパクトも気持ち良さそうに走っていた。
向こう正面に入るとアドマイヤメインが逃げ脚を伸ばし2番手に10馬身くらいの差をつけレースは縦長となった。直線の短い中山競馬場であったが武豊騎手もディープインパクトへの絶対の信頼にまったく造作もない事というようにディープとの呼吸を合わせていた。
レースが動いたのは3コーナーに差し掛かろうとしたあたりだろうか。ディープインパクトが1頭また1頭と少しずつ馬なりのまま交わして上がっていく。これに合わせて前馬が動き出しアドマイヤメインのリードはもうわずかとなっていた。そして、末脚の持続力に自信のある馬コスモバルク、メイショウサムソン、ダイワメジャーあたりが先頭だったアドマイヤメインを捉えようとした その瞬間の事である。大外から想像もつかないスピードでこれらのひとマクリにしていく馬がいた。ディープインパクトである。翼をもった馬がその大翼を広げ伝家の宝刀を抜いた瞬間だった。
直線に入ると超トップギアに入ったディープインパクトが内でラストスパートをかけるダイワメジャーやメイショウサムソンらの名馬を圧倒的な衝撃波で置き去りにしていく。 差が1馬身2馬身・・・とぶっちぎっていく。まるであの若駒ステークスで後続が止まっているどころか他馬が逆噴射しているシーンをG1レースで再現しているようだった。競馬ファンどころか日本国民が熱狂してこの走りを目に焼き付けていた。最後の50メートルくらいは武豊騎手も追うのをやめただただディープインパクトの背中を感じていたようだった。 最後は2着のポップロックに3馬身の差をつけて最後のレースを締めくくった。その瞬間、瞼に涙を浮かべたファンも多かったのではなかっただろうか。
スタンド前に帰ってきたディープインパクトに大きな声援がとんでいた。 我々の前に現れたディープインパクトという伝説の名馬はその運命ともいえるスター性で有終の美を飾ってくれた。しかも、ベストレースと言われるような内容での優勝であった。 私は一生忘れないだろうなと思える瞬間だったなと思う。まぎれもなくこの強さは史上最強馬と言える馬であったと確信する。それは強さ、スター性の両面においてもである。 勝ちまくる事で憎たらしく思えるようになる名馬もいる中、この馬は最後の最後まで何か、かわいさを持った馬だった。そんな素晴らしい馬が競走馬としてターフを駆けていた時期に 競馬ファンであれた事を本当に幸せと思う。そして彼の走りを幾度となく生で見れた事は何物にも変えられない財産だったなと思う。本当に素晴らしい競走馬だった。彼はこれから種牡馬として 第2の生活に入るが、どうかディープインパクトの良さを多く伝えてもらって種牡馬の中でもトップホースになってもらいたいなと思う。また、残念なニュースが多い中であるから、ディープインパクトには シンザンの長寿記録を超えるくらいにいつまでも元気で生きてもらいたいと思う。いつか北海道の牧場でディープインパクトと再会したいと思う。
ありがとうディープインパクト、君の事は一生忘れない。

着順馬番馬名性齢騎手時計3F
14ディープインパクト牡4武豊2.31.933.8
21ポップロック牡5ペリエ3馬身35.0
35ダイワメジャー牡5安藤勝己3/4馬身35.3
43ドリームパスポート牡3内田博幸ハナ34.9
58メイショウサムソン牡3石橋守1 1/4馬身35.4
62デルタブルース牡5岩田康誠35.3
79トウショウナイト牡5武士沢友3/4馬身35.3
812アドマイヤフジ牡4武幸四郎34.6
910アドマイヤメイン牡3柴田善臣ハナ36.3
106スイープトウショウ牝5池添謙一34.5
117コスモバルク牡5五十嵐冬樹2馬身35.4
1211スウィフトカレント牡5横山典弘34.4
1313ウインジェネラーレ牡6蛯名正義1 3/4馬身35.7
1414トーセンシャナオー牡3勝浦正樹2 1/2馬身36.3

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送